【研究】『鬼滅の刃』全体の時系列を書いてみた【ネタバレあり】
『鬼滅の刃』全体の時系列です。
本編・外伝・公式スピンオフ小説等を含み、アニメ版の描写も参考にして作成しています。?マークがあるところは、独自の考察結果を含めた箇所です。
以下、最終巻までの内容および外伝・ファンブック等の内容を含みますので、未読の方はご注意ください。
平安時代
鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)、「善良な医者」の処方した薬で「鬼」となる。
血縁の産屋敷(うぶやしき)家は呪いで家系が絶えかけ、神職の助言で鬼の討伐を家命とする。以降神職の家系から妻を娶り、呪いを緩和させながら子孫をつないでいく。
平安時代は西暦794~1185年(諸説あり)までの約390年あります。無惨が生きた時代は1000年前という記述から、西暦900~1000年頃だと考えられます。
戦国時代(西暦1500~1600年頃)
継国縁壱(つぎくに・よりいち)が鬼殺隊に入り”呼吸法”を教え、「始まりの呼吸の剣士たち」が誕生する。
関連記事→【研究】継国縁壱
「始まりの呼吸の剣士たち」の時代
もともとあった剣術の型に呼吸を上乗せすることで、鬼殺隊は鬼を圧倒するようになる。
縁壱の話から、この頃から既に「煉獄家」は鬼殺隊に関わっていたことが分かる(「煉獄」という名前を使っていたかどうかは不明)。
鬼殺隊士である継国厳勝(つぎくに・みちかつ)が鬼となり、当時のお館様を殺害。同じ頃、縁壱が無惨に遭遇、追い詰めるも完全には倒せず、無惨は姿を隠す。
同時に珠世は無惨の支配から外れ、無惨に復讐を誓う。以降珠世は人間を襲わずに暮らす。縁壱は兄の裏切りと珠世を見逃した責任を問われ、鬼殺隊から追放される。
縁壱はかつて暮らした家に戻り、住んでいた竃門炭吉に「日の呼吸」の型を見せる。これ以降、竃門家が「ヒノカミ神楽」「耳飾り」を継承し、人知れず「日の呼吸」を後世へとつなぐ
鬼殺隊はだんだん弱くなっていく(「第21代炎柱の書」より)
~約60年~
無惨の復活
縁壱、鬼となった厳勝と再会して対峙するも、あと一歩のところで寿命が尽きる。無惨が復活し、「日の呼吸」の型について知るものを殲滅。鬼殺隊は壊滅状態となる。
江戸時代(西暦1603~1868年)
無惨、「十二鬼月」を創設しようと動き始め、猗窩座を勧誘して鬼とする。その後に童磨を勧誘し、のちに上弦の陸となった童磨は妓夫太郎&堕姫を勧誘する。
1800年頃、鬼殺隊が上弦の鬼の討伐に成功(詳細は不明)。
慶応年間(1865~1868)に鱗滝さんが「手鬼」を捕獲。
明治~大正時代
97代目当主を産屋敷耀哉(うぶやしき・かがや)が継承
96代目のお館様が自殺、産屋敷耀哉(4歳)が97代目となる(1890年代中頃か?)。
産屋敷耀哉(13歳)、神籬(ひもろぎ)あまね(17歳)とお見合いで結婚(単行本第16巻・第136話幕間より)、翌年五つ子(にちか・ひなき・輝利哉・くいな・かなた)誕生。
この頃、悲鳴嶼行冥(17~18歳)は住んでいた寺を鬼に襲われ、殺人犯とされて死刑になりかけたところを産屋敷耀哉に救い出される。
悲鳴嶼さんと耀哉様が初めて対面したのは、悲鳴嶼さんが18歳、耀哉様が14歳のときだとされています。
悲鳴嶼行冥(19歳)が”岩柱”となる(第138話より)
胡蝶カナエ・しのぶ姉妹が、悲鳴嶼行冥を経て育手のもとに送られる(※悲鳴嶼さんの”岩柱”就任と前後するかもしれません)。
公式スピンオフ小説2『鬼滅の刃-片羽の蝶』第1話はこのときのお話
数年後
不死川実弥が”風柱”に就任。公式スピンオフ小説3『鬼滅の刃-風の道しるべ』第1話はこの頃のお話
この頃にいた他の”柱”は、悲鳴嶼行冥・宇髄天元・胡蝶カナエ・冨岡義勇・煉獄槇寿郎
胡蝶カナエ死亡(享年17歳)、胡蝶しのぶ(14歳)が「蝶屋敷」を継ぐ。
1年後?胡蝶しのぶが”蟲柱”に就任
大正時代
『鬼滅の刃』第1話はこの時代から始まります。
竈門家襲撃事件
冬に竃門家が襲われ、家族五名死亡(1912年頃?)。
冨岡義勇が雪山で竃門炭治郎と禰豆子に出会い、鬼殺隊へ導く。
炭治郎、狭霧山での修行開始
『鬼滅の刃・外伝』「冨岡義勇外伝」はこの頃のお話(冬)
~約1年数か月~
『鬼滅の刃・外伝』「煉獄杏寿郎外伝」はこの頃のお話(桜の季節・春)
甘露寺蜜璃の階級はこの頃まだなりたての”癸(みずのと)”で、呼吸も未完成だったことが分かります。この頃炭治郎は狭霧山で大岩が斬れずに奮闘中で、錆兎に出会う少し前です。
煉獄杏寿郎が”炎柱”に就任(桜の季節~春頃)
同年、時透無一郎、伊黒小芭内、甘露寺蜜璃が”柱”に就任し、”柱”九名が揃う。
「藤襲山」の”最終選別”
竃門炭治郎、「手鬼」を討伐の上、”最終選別”を突破。鬼殺隊士となる。
2週間後、訪れた鋼鐡塚(はがねづか)から日輪刀を受け取り、初任務として「沼鬼」の討伐へ。
「浅草編」
炭治郎、浅草で街の発展ぶりに驚く。
無惨に遭遇。
炭治郎、珠世・愈史郎と協力関係を結ぶ
「手毬鬼・朱紗丸」「矢印鬼・矢琶羽」と対峙、珠世らの応援もあり討伐
(この頃、アニメ版では桜が咲いていたので、季節は春頃です)
「鼓屋敷編」
炭治郎は善逸と出会い「鼓屋敷」へ向かう。伊之助とも合流して「響凱(きょうがい)」を討伐。
炭治郎、善逸・伊之助とともに「藤の家紋の家」で療養
公式スピンオフ小説1『鬼滅の刃-しあわせの花』第1話はこの頃のお話
~約1ヶ月?~
「那田蜘蛛山編」
緊急指令により、かまぼこ隊(炭治郎・善逸・伊之助)は那田蜘蛛山へ。
村田さんと出会う。
那田蜘蛛山の戦い
炭治郎、「ヒノカミ神楽」が戦いに応用できると気づく。
冨岡義勇により「下弦の伍・累」討伐。
「柱合会議・蝶屋敷編」
”柱合裁判”が行われ、禰豆子の存在が認められる。
炭治郎と禰豆子は「蝶屋敷」にひきとられる。
無惨さまのパワハラ会議で下弦解体へ。
「柱腕相撲大会」が開催されたのはこの頃のお話(エピソードは『鬼滅の刃‐片羽の蝶』第5話に掲載)
関連記事→【感想】『鬼滅の刃-片羽の蝶』【公式スピンオフ小説2】
~約3ヶ月~
「無限列車編」
炭治郎たちは「全集中・常中」を身に付け「無限列車」へ。
炭治郎・伊之助により下弦の壱「魘夢」討伐。
「無限列車」にて煉獄杏寿郎死亡(享年20歳)。
※ここまで(本編以前の物語を除く)が、テレビアニメ第一期「竈門炭治郎立志編」・映画「無限列車編」・アニメ版「無限列車編」で放送された内容になります。
「煉獄家」にて
炭治郎は「煉獄家」を訪ね、槇寿郎・千寿郎と出会う。
炭治郎は杏寿郎の日輪刀の鍔を千寿郎から託され、千寿郎は「炎柱の書」の修復と「日の呼吸」に関する調査を始める。
公式スピンオフ小説1『鬼滅の刃-しあわせの花』第3話はこの頃のお話。
※アニメ版を参考にすると、槇寿郎さんが炭治郎に手紙を出したのは、煉獄家訪問から約2ヶ月後になります。(槇寿郎さんのセリフは変更され、原作どおり「この4か月千寿郎とも手紙のやりとりを~」となりました。2024/2/24土曜スペシャル放送にて確認)。
~約4ヶ月~
この頃にはなぜか、善逸と伊之助もすっかり「蝶屋敷」が生活拠点となっている模様。
「遊郭編」
炭治郎、山奥の廃寺でかまきり鬼を討伐(TVアニメ版「遊郭編」第1話)。
(TVアニメ版での修行中の描写から、季節は秋ごろです)
炭治郎・善逸・伊之助は宇髄天元に同行して遊郭に潜入。
公式スピンオフ小説1『鬼滅の刃‐しあわせの花』第4話はこの頃のお話(関連記事:【感想】『鬼滅の刃-しあわせの花』【公式スピンオフ小説1】)
炭治郎に”痣”発現
「上弦の陸」討伐へ(上弦を倒したのは113年ぶり)
宇髄天元引退
※ここまでがアニメ版「遊郭編」の内容になります。以降はアニメでは未放送の内容になりますので、本編未読の方はご注意ください。
~約2ヶ月~
「刀鍛冶の里編」
炭治郎、約2ヶ月の昏睡状態から目覚める。
炭治郎、刀鍛冶の里を訪ねる(原作では晩御飯に「松茸ご飯」が出たので、この頃の季節は秋の可能性が高いです)。
炭治郎が”動作予知能力”を習得
時透無一郎が記憶を取り戻す
時透と甘露寺に”痣”発現
上弦の肆と伍を撃破
禰豆子が太陽克服
※小説版「刀鍛冶の里編」は、読んだあとにかなり良いと感じました。電子書籍版も出ているので、良かったら是非読んでみてください。
緊急柱合会議
「刀鍛冶の里」での戦闘が終わってから約一週間後に開催(甘露寺さんと時透くんは丸2日、炭治郎は7日間眠っていたことと、その他の描写をあわせて推定)。
公式スピンオフ小説2『鬼滅の刃-片羽の蝶』第4話はこの頃のお話
公式スピンオフ小説3『鬼滅の刃‐風の道しるべ』第4話はこの頃のお話
関連記事→【感想】『鬼滅の刃-風の道しるべ』【公式スピンオフ小説3】
「柱稽古編」
「緊急柱合会議」から少なくても3日後以降に開始。
炭治郎により義勇さんが前向きになる。
しのぶさんと珠世さんの共同研究開始(※もう少し以前の可能性もあり)。
炭治郎が”反復動作”を習得
産屋敷邸襲撃
産屋敷邸が襲撃され、同日、98代目として産屋敷輝利哉(うぶやしききりや・8歳)が跡を継ぐ。
アニメも原作も、このときの季節は雪の舞う冬。
産屋敷家の娘たちが歌っていた手毬唄が正月のときのものである、という意見もあるため、大晦日から元旦にかけての出来事かもしれない。その場合、奇しくも竈門家が代々ヒノカミ神楽を舞うのと同日にあたることになる。
無限城の戦い&地上戦
無惨討伐
~約3ヶ月~
鬼殺隊解散(桜の季節)
炭治郎と禰豆子は善逸・伊之助を連れて雲取山へ戻る。
本編終了。
『公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』には「炭治郎の近況報告書」が収録されており、炭治郎が実家へ戻ってからのお話が描かれています。
現代
後日談として「現代編」が単行本第23巻に収録されています。物語のはじまりが1912年頃なら、現代編は2024年頃のお話となります。
輝利哉さまはまだご存命で、117歳の日本最高長寿者としてインタビューを受けています。
全体を通じての感想
8巻までのボリュームとそれ以降の差が大きいかも。後半にもうちょっとエピソードが欲しいなと思いました。
そしてエピソードとエピソードの間は、だいたい療養で埋まっています。その期間をのぞけば、本編で描かれているのはほんの数ヶ月分の内容ということに……。
もっと各キャラのエピソードを見たかった
「柱稽古」だけでも1ヶ月はかかっているはずなので、さらに短い期間の活動内容しか描かれていないことになりますよね。もっと各キャラのエピソードを読んでみたかったです。
と思っていたところ、TVアニメ版では、原作と矛盾が発生しない範囲で各所にシーン追加がされています。かなり研究して慎重につくられていると感じました。
アニメ化にあたって
追加シーンなどをみると、アニメ化にあたって、作者の吾峠先生ともちゃんと話し合われているのかもしれないと感じました。色指定や作画指定も吾峠先生が細かくされているようでしたし。
そして純粋に、制作関係者も作品のファンなのかもしれません。
連載が終わってからも、吾峠先生が要所要所でアフターケアをしてくれている感じがなんとなく伝わってくるような感じが、ほんのりといたします。
また、本編をじっくり読むと、ひとコマひとコマにかなり心がこめられていて、読み返すと思わぬ発見があり涙が出てきます。
時代を超えて読み継がれる作品である
この作品、不満に思うところがないわけではありませんが、それもまた味付けのひとつ。総合的にみると、かなり深くて奥行きがあり、この先何年、何十年も、繰り返して読み継がれる作品だと思います。