研究・考察

【研究】煉獄槇寿郎【元・炎柱】

藤村さき
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 代々”炎柱”を継ぐ「煉獄家」の当主。杏寿郎さん・千寿郎くんの父にあたります。

 ”炎柱”を務めていましたが、ある日突然引退。「どうして槇寿郎さんは炎柱を辞めたの?」について、考察しました。

引退理由

 歴史ある煉獄家を背負いながら鬼殺を続け、さまざまな思いを抱えていたことが登場時の様子やセリフから想像できる槇寿郎さん。

 自らの才能についても思い悩みつつ、それでも日々頑張っていましたが、最愛の妻である瑠火さんの死が、槇寿郎さんの心の炎をしぼませてしまいました。

「炎柱の書」と「最愛の妻の死」

 家に受け継がれている「炎柱の書」を熟読しているうちに、槇寿郎さんは自らに才能がないことを悩むようになりました。

 それでも何とか”炎柱””煉獄家”として頑張っていましたが、そんなときに最愛の妻である瑠火さんが病死してしまいます。

 気落ちした槇寿郎さんは酒に溺れるようになり、任務も精彩や使命感を欠くようになっていきます。そして柱合会議への参加を拒否したのを最後に、”柱”から外れています。

お館様による救いの手だった?

 ここからは推測になります。

 のちに杏寿郎さんが「下弦の鬼」として討伐することになる鬼に対して、槇寿郎さんは止めを刺さず、逃亡を許してしまっています。

 わざと逃がしたとは思えませんが、積極的な追跡もしなかったのではないでしょうか。槇寿郎さんの実力なら、確実に仕留められたレベルの鬼でもありました。

 そして逃げた鬼は成長して、下弦の鬼にまでなってしまいます。

 この失態にお館様は気付いていたはずです。槇寿郎さんが任務に酒を持ち込んでいたことも隊律に抵触するかもしれません。

 もしこの失態に他の”柱”たちが気付いたら、追及され責任を問われて、おそらく大騒動になってしまうでしょう。

 ただこれだけなら、お館様がなんとかとりなせる範囲な気もします。

 しかし、槇寿郎さんは招集された”柱合会議”への出席を拒否してしまいます。こうなると、お館様でももはや槇寿郎さんを庇いきることはできません。

 不死川実弥もピり付いており、ひと悶着あってもおかしくありません。

 お館様は、槇寿郎さんが他の”柱”たちから追及されて”柱合裁判”にかけられる前に、次の”炎柱”となれる時期がきていた杏寿郎さんに、槇寿郎さんが逃した鬼を討伐させることにしたのです。

 そうして、お館様はやんわりと槇寿郎さんを”柱”から外し、槇寿郎さんや煉獄家を守ったのではないかと考えます。

 もっともはじめは、”炎柱”が二人になっても問題ない、もしかしたら親子間にも良い影響が出るかもしれない、と考えて杏寿郎さんを呼ぶつもりだったのかもしれません。

 産屋敷家の代々当主も重圧により心を壊していくことが多かったので、お館様は槇寿郎さんが変わっていく様子を見て、とても心配だったのではないでしょうか。

炭治郎への手紙で槇寿郎さんが語った内容では

単行本第10巻に、槇寿郎さんから炭治郎へ送られた手紙が掲載されています。

最も影響を与えたのは妻の死

 手紙では、「自分の無能に打ちのめされていた時、畳み掛けるように最愛の妻が病死した。それから酒に溺れ~」

と、槇寿郎さんが告白しています。

 槇寿郎さんの心に最も影響を与えたのは、やはり最愛の妻・瑠火(るか)さんの死だったようです。

 杏寿郎さんも、『鬼滅の刃-外伝』「煉獄杏寿郎外伝」で「母が亡くなってから(父の)酒の量が増えて~」みたいなことを言っていました。

自分の才能の無さにうちひしがれる

 槇寿郎さんは瑠火さんが亡くなる前から「炎柱の書」をずっと熟読していました。

 「炎柱の書」には「日の呼吸」の剣士の凄さ、無惨を追い詰めたときの話、「痣」の発現についても載っていました。

 当時の”炎柱”が感じたように、槇寿郎さんも自らに才能がないことを感じて打ちひしがれてしまったのです。

「日の呼吸」を使う最強の剣士ですら無惨を討ち果たせなかったのに、「派生」である「炎の呼吸」で「痣」も出ない状態で無惨を倒せるのか?

 そして自らにも、息子たちにも、選ばれた剣士としての才能がないと思い詰めるようになってしまいました。

 お館様の奥様である、あまね様もおっしゃっていたように、こう考え込んでしまう隊士が過去にも多かったために、”痣”の話は鬼殺隊でも「一部の者しか知らない」「”柱”でも知らないものが多い」ものになっていったと考えられます。

終わりのない戦いへの虚しさ

 槇寿郎さんは段々と、無惨を倒せる見込みのない「終わりのない戦い」への虚しさ、息子や子孫へと「鬼狩り」をつないでいくことの不毛さ、を感じていったと思われます。

 『公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』「煉獄零話」で、杏寿郎さんは「父が稽古をつけなくなったのは自分たちを死なせたくないからでは?」推察しています。

 その推察もきっと真実をついているのだと思います。

 「戦い続けても無惨は倒せず、きっと死んでしまうだけ」だと考えた槇寿郎さんは、だんだんとやる気を失っていったのだと思われます。

 映画版「無限列車編」のエンディングで杏寿郎さんたちに稽古をつけていたときの槇寿郎さんは、とても優しそうな笑顔をしていました。

 親子の幸せそうな様子を思い出すと、涙が出てきてしまいます。

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