【感想】『鬼滅の刃公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』

藤崎まや
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

 2021年2月4日発売。玉石混交の内容、というのがぴったりな一冊です。

 公式ファンブックの二冊目です。表紙がとっても綺麗で、本屋さんで見かけると買いたくなります。わたしは電子書籍で買ったのですが、紙の本も読みやすくて良いと思います。

 以下、本巻と本編最終話までの内容、公式スピンオフ小説などの内容を含みますので、未読の方はご注意ください。

全体の感想

 本編を読んだだけでは決して分からない設定がたくさん載っていました!

 出来ればこの設定をストーリー上にも落とし込んで欲しかったなあと思います。

 『鬼滅の刃』は本当に、キャラ設定はものすごく素晴らしいと思うんですけど、その設定がほとんど本編では登場していないのがとても残念です。

 炭治郎以外のキャラの出番自体、あまりありませんし。

 『鬼殺隊見聞録・弐』には後日談なども掲載されており、楽しく読むことが出来ました。

 ただし、前作である『鬼殺隊見聞録』の内容をさらに濃くした、という印象を受ける内容でもありました。

 そのため、前作の存在意義が少し薄れてしまった一方で、前作にしか載ってない情報(誕生日など)もあるため、総合すると情報が分散されてしまった感じです。

買って良かったと思ったところ

新作書き下ろしの「後日談」を掲載

 新作書き下ろしが三本。

 メインは「炭治郎の近況報告書」ですね! あとの二本はおまけ的な感じです。

未収録漫画が追加

 こちらのメインは「煉獄零話」ですね。

 映画館で特典として配布された「煉獄零巻」と同じ内容で、杏寿郎さんの「最終選別合格後~初任務の様子」が描かれています。

大正コソコソ噂話など、情報が大量追加

 大正コソコソ噂話が大量に追加されているのが何と言ってもすごいです。

 各隊士に支給された鎹鴉の名前や、各呼吸の技、上弦の鬼が使う技などが紹介されています。 本当に本編では分からなかったことのオンパレードです。

「柱相関言行録」の掲載

 柱同士がお互いの印象を書いた「柱相関言行録」が載っていました!

 ここを読んで初めて、最終巻でどうして不死川さんが鏑丸くんを連れてたのか、その理由が何となく想像できました。不死川さんと伊黒さんは気の合うお友達だったようです。

 本編だけじゃわからないですよね。

「青い彼岸花」についての新情報

 原作では現代編でもその存在と顛末が触れられていましたが、大正時代にもやはり存在していたことが判明しました。

 原作の「那田蜘蛛山編」で炭治郎が見た走馬灯にあった彼岸花らしきもの。あれが「青い彼岸花」だったみたいです。炭治郎は見たことあったんですね!

 炭治郎と伊之助が親しくなったことは未来の「青い彼岸花」の顛末へもつながっていく、そんな気がしました。

 伊之助関連では特に「運命の出会い」的なものが多い気がします。

各呼吸のその後が判明

 各呼吸の技の型は、神楽として継承されているようです。産屋敷家が所有する神社で、毎年奉納されているとか。

 この神社ってもしかして、藤襲山にあったりするのかなー?とか想像してしまいました。あの山では相当な死者が出ているはずなので、もしそうなら重い神楽です。

残念だったところ

鬼滅の問答ゲヱム

 これは正直、わたしは要らなかったです。

 そもそも電子書籍で買ったので付録の札がないし、6~11人で集まって遊ぶなんてことはたぶん一生ないでしょう。

「炭治郎の近況報告書」のあらすじと感想

 炭治郎・禰豆子・善逸・伊之助の4人で住み始めてからの物語が描かれていました。実質的には本編の続き、後日談になります。

将来を見据える炭治郎

 みんな以前よりは体力が落ちてしまったみたいで、特に炭治郎は洗濯でふうふうと息が切れていました。

 痣の寿命まではまだあるとは思うんですが、炭治郎も余命を意識しているのかな?という描写がいくつもあって、読み取り方によっては悲しい内容でもあります。

 炭治郎は痣が出ている期間が他の人たちより長かったので、受ける影響も大きいのかもしれないですね。

 輝利哉さまからは生活に困らないようにと、目ん玉が飛び出るぐらいのお金をもらったようです。それも自分が死んでしまった後のことを考えて手をつけず、炭焼きなどをして暮らしています。

 ていうか炭治郎は、輝利哉「くん」って呼んでましたね。相変わらず距離詰め近くて羨ましいです。

 恋愛に関しても善逸にアドバイスしたり協力したりと、炭治郎の意外と大人な一面も見ることが出来ました。

伊之助は将来が楽しみ

 伊之助はいちばん元気みたいです。

 炭焼きの仕事を手伝ったり、食料調達したり、禰豆子の用心棒を名乗ったり、禰豆子を背負って蝶屋敷まで遊びに行ったりと、まったく心配なさそう。

 伊之助はむしろ子供返りしているんじゃないかな?という印象を受けました。禰豆子を母親代わりに子供からやり直している、そんな気がします。

 炭を売りにいく町の人たちとも仲良くやっているようですが、アオイちゃんとの進展はまだまだこれから、という感じですね。何となく伊之助が一番最初に結婚する予感。

 伊之助は初登場時から比べると、本当に心の成長が著しくて、将来が楽しみです。

善逸視点で読むとまったく違ったお話になる

 問題は善逸ですよ。

 後遺症で足が痛いのは仕方ないとして、山の暮らしにあまりなじんでいない感じだし、禰豆子と伊之助が仲良くしていると焼きもちを妬いて禰豆子に構おうとしてもらったり。さすがに炭治郎に注意されてしまったみたいです。

 でもその注意の仕方が、とても炭治郎らしいと思いました!

 「もう剣士ではないからかっこいいところは見せられない」「生活をちゃんとしないといけない」「甘えてばかりだと異性として見てもらえない」

 など、善逸や禰豆子の将来をきちんと考えた注意をしています。炭治郎は自分がいなくなったあとのことも考えているんだろうなと思いました。

 ただ、この善逸にまつわるお話は一見お笑い的なものに見えますが、善逸の視点で考えるととても深く考えさせられるものです。

 慣れない山暮らしで思うように役に立てない自分、鬼殺隊が解散したあとの自分にどんな存在価値があるのかなど、善逸は精神的な戸惑いや不安があったのではないでしょうか?

 仲間との距離感や接し方なども、鬼殺隊時代とは変わってきたはずです。自分が嫌われていないことを、善逸は突飛な行動をすることで証明したかったのかもしれません。

 ある意味、この後日談のエピソードは、本編であまり触れられなかった善逸の心の闇を婉曲的に表現したものとも言えます。

他の人たちも登場

 それから相変わらず炭治郎はいろんな人と交流があって、文通もしているようです。

 昔は返事がなかった義勇さんも返事をくれるようになり、文面も徐々に明るくなったっぽい?

 義勇さんが宇髄さんとその奥様3人の計5人で温泉で混浴してた場面は気まずそうでしたが、これは多分誰でも気まずいですよね。義勇さん、こうなると知ってたら絶対行かなかった事案でしょう。

 でも義勇さんが楽しそうに暮らしてるっぽくて良かったです。

 そして義勇さんの暖かくやわらかい笑顔も見られました!この笑顔だけで一日が心安らかに過ごせます。第1巻での義勇さんの表情、そこからの今の表情、ふたつを重ね合わせると自然と涙が出てきます。

 不死川さんは「字が読めるけど書けない」と言って返事を寄越しませんが、こっそりおはぎと抹茶を持ってきてましたね。良き!

 本当に「読めるけど書けない」んでしょうか?育った環境を考えるとたしかにあり得そうですが、なんか返事を書くのが照れくさいからそういうことにしてる感もぬぐえません。

このあとのエピソードを書いた続きはまた出るのでしょうか?楽しみですね♪

まとめ

本巻のまとめと感想

 本編で全く触れられていない設定がたくさん書かれていたので、興味深く拝読しました。でも可能なら少しでも本編上に乗せて欲しかった!

 内容的には『公式ファンブック鬼殺隊見聞録』を発展させた内容も多く、「鬼滅の問答ゲヱム」などいまいちな部分も気になりました。

 この内容なら、『公式ファンブック鬼殺隊見聞録』『公式ファンブック鬼殺隊見聞録・弐』の二冊に分けない方が、まとまりが良かったと思います。

 何かを調べようとするときに、二冊に分かれていることで情報が分散してしまうので、調べにくくなってしまっています。

 「まとめ&追加の後日談」でもう一冊出る予感がします。ふっ。

物語全体のまとめと感想

 本当に完結してしまったこと、途中から完結させようと展開の可能性を閉じているところが、残念でなりません。

 全力で完結させたな、という印象を受ける一方で、痣に関しては全てが謎のまま残ってしまっています。

 これからもまだまだエピソードが追加されたりするのかな?という気も少ししました。

 アニメ版で各所少しずつ補完されているのと、全貌を知っていそうな愈史郎がずっと生きているので、エピソード追加の可能性はありますよね♪

 まあこの「もっと欲しい」感が、長く人の心をつかんで離さない要因でもありますけれども。

スポンサーリンク
記事URLをコピーしました